だいすきな新庄さんへ。

 新庄さん、そちらの天気は良いですか?
今日はどこを旅していますか?

 「必ず戻るから泣いちゃダメよ」と、
私の手をギュッと握ってくれたあの日から、
もう2度目の春を迎えます。
今だから言えるのですが、
はじめは、ちょっぴりとっつきにくいヘルパーさん?
なのかな、と思っていました。
だけど、本当は、とても心優しく温かい方でした。
炊事、洗濯、掃除と、どれも無駄なく的確で、
身体介護も丁寧で、頼りになる存在でした。
全身麻痺の私が、
息子達と3人で暮らすことができたのも、
新庄さんのおかげです。

離婚調停を前に、緊張から顔面蒼白している私に、
「大丈夫よ。みんながついているから」と、
手を握って励ましてくれましたね。
動けない私に、
実の母が「役たたず」と罵った時も、
「お母さん、頑張っている娘さんにそんなこと言わなで」と、
かばってくれました。
長男の反抗期にも、
本気で叱ってくれたのが嬉しかったです。
「子育ては山あり谷ありあって当たり前。
親の思う通りに子供は育たないから」と、
いつも励まし、支えてくれました。
雨の日も雪の日にも自転車をこいで来てくれました。
何より、私にとっては母以上に心癒され、
頼りになる存在でした。
それなのに私は、
新庄さんの身体が病魔に侵されていくのを
ただ見ているしかできませんでした。
あんなに助けてもらったのに、
何の恩返しも出来ていません。
もっと早くに検査していたら・・・・・・。
悔しいです。本当に悔しくてたまりません。
こうして手紙を書きながらも、
ポロポロと涙がこぼれます。
大の大人がエンエン泣いて笑われてしまいますね。
「泣いちゃダメよ」と言われそうです。

一生懸命働いて、
思いっきり旅行を楽しんでいた新庄さんは、
とてもかっこよかったです。
新庄さん、今はどこを旅していますか?
ステキな景色を見ていますか?
美味しいもの、食べていますか?
私は新庄さんに救ってもらった「心」で
精一杯子育てしています。
あの、屁理屈大王だった長男も、
中学生になりました。
詰襟の学生服をビシッと着こなし、
楽しく学校へ行っています。
次男も4年生になり、
毎日割り算の特訓に悪戦苦闘しています。
私たちの「今」があるのは、
新庄さんのおかげです。
この声が届くなら、
もう一度新庄さんに会って大きな声で伝えたいです。
「新庄さん、ありがとう。本当にありがとうございました!!」と。
新庄さんに出会えたことは、私の一生の宝物です。

by jibundenaiwatasi | 2013-07-14 08:40 | エッセイ進捗・結果 | Comments(0)
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「全身麻痺のシングルマザー」 人生奮闘記。かな?


by jibundenaiwatasi
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